「ただ、自分の仕事をきちんとこなしたいだけなのに」と、願っているにも関わらず、なぜかいつも仕事ができない同僚や関係者のミス・不手際のフォローに追われ、自分の時間が奪われ、精神的に疲弊してしまう経験はありませんか?
そんなやるせない気持ちとストレスを抱えながら働くのは、本当につらいことです。この状況は、あなたの貴重な時間、エネルギー、そして仕事へのモチベーションを確実に蝕んでいきます。
この記事では、そんな仕事できない人に振り回されず、ご自身が穏やかに、そして効率的に働くための具体的な対処法と考え方を詳しく解説します。
この記事を読むことで、対処法や考え方にヒントを得られます。
仕事ができない人のフォロー役になってしまう原因
なぜ特定の人が仕事ができない人のフォローをさせられやすいのか、その背景を考えてみましょう。原因は一つではなく、複合的な場合が多いです。
責任感が強く、頼られると断れない
自分がやらなければという優しさや責任感が、結果的に過剰な負担を引き受ける原因になっていることがあります。
上司の指示とはいえ、仕事ができない人に一生懸命教育をしても報われないことは多々あります。実際にレクチャーに半日時間を要したにもかかわらず、何度も同じミスをされて役職が下の私が何度も指摘したり、フォローせざるを得ない状況になり無駄な時間を費やしたことは今も忘れもしません。
高いスキルや問題解決能力
あなたの能力が高いがゆえに、周囲が「あの人に頼めば何とかなる」と安易に依存してしまっている可能性があります。
さばさばした性格の人は特に周囲から「厳しくやっちゃって!」などと安易に頼まれることによって、無意味に教育せざるを得ないこともあります。
改善すればよいのですが、同じミスを永遠と繰り返すような人は救いようがありません。
曖昧な役割分担
チーム内や部署間の役割分担が不明確だと、こぼれたボールを拾わざるを得ない状況が生まれやすくなります。
安易に自分のサブ担当に仕事ができない人を割り当てられた場合、手を付けてこなければよいのですが無駄にやる気がある人の場合、自分の仕事をかき乱されて後片付け役にならざるを得ない悲惨な状況になることがあります。
見て見ぬふりをする周囲
問題を起こす本人だけでなく、それを放置したり、あなたに押し付けたりする他の同僚や上司の存在も、状況を悪化させる一因です。
特に上司は実務に関わることがない分、状況がどれほど深刻なのかはエビデンスをもって説明し納得させるしかないと思っています。この状況から解放されるための方法はこのあとに詳しく説明しています。
仕事できない人への遠慮または諦め
本人に直接指摘したり、改善を求めたりすることを躊躇してしまう空気が、問題を温存させている場合があります。
幾度となく注意喚起しても一向に改善されない場合、周囲が諦めモードになり改善されず曖昧な日々へと戻ってしまうことがよくあります。これらの要因が絡み合い、「あなたがフォローをする」という構図が固定化されてしまうのです。
しかし、これは決してあなたのせいだけではありません。構造的な問題も大きいのです。
仕事ができない人のフォロー役から解放されるための手順

では、具体的にどうすればこの負のループから抜け出せるのでしょうか?状況や相手との関係性に応じて、いくつかの手順を試してみましょう。
1.現状把握と証拠集め(客観的事実を整理する)
感情的に「いつも私ばっかり!」と訴えるだけでは、状況は改善しません。まずは客観的な事実を整理しましょう。
- いつ、誰が、どのようなミスをしたのか
- その結果、どのような影響(遅延、損害、クレーム等)が出たのか
- あなたが、どのように、どれくらいの時間を使ってフォローしたのか
- 同様の事態が、どれくらいの頻度で発生しているのか
具体的な日時、内容、かかった工数などをメモしておくと、後々、上司に相談する際などに非常に役立ちます。感情ではなく「事実」で語ることが重要です。
2.「できないこと」「やらないこと」の境界線を明確にする
あなたは、他人の仕事をすべて肩代わりする義務はありません。自分のキャパシティと本来の業務範囲を意識し、「境界線」を引く勇気を持ちましょう。
安易に引き受けない
頼まれた際に、すぐに「はい」と言わず、「自分のタスク状況を確認します」「それは本来〇〇さんの担当ですよね?」など、一呼吸置く癖をつけましょう。
断る練習をする
角が立たない断り方を身につけることも大切です。
「申し訳ありません、今△△の案件で手一杯でして…」「私がお手伝いできるのは〇〇までですが、それ以降は難しいです」など、理由や代替案を添えると相手も受け入れやすくなります。
完璧を目指さない
フォローをする際も、100%完璧な状態に戻す必要はありません。最低限の影響に抑える、担当者に引き継ぐなど、「自分の責任範囲」を意識しましょう。
3.コミュニケーションによる改善アプローチ
相手や状況によっては、直接的なコミュニケーションが有効な場合もあります。ただし、感情的にならず、建設的な対話を心がけることが重要です。
本人へのフィードバック
「この前の〇〇の件、△△の部分で困ったんだけど、今後はこうしてもらえると助かります」など、具体的な事象と改善策をセットで、こちらの気持ちも含めた形で伝えてみましょう。
ただし、相手の性格や関係性によっては逆効果になる場合もあるため、慎重に判断が必要です。直接のフィードバックが難しい場合は、一度上司に相談してみるのもよいと思います。
仕組みやルールでの解決提案
個人の問題だけでなく、チェック体制の強化やマニュアル整備など、ミスが起こりにくい仕組みづくりを提案することも有効です。
しかし、仕事が極端にできない人にフォーカスしたチェック体制やマニュアル整備は時間も工数も無駄にかかるため、必ずしもやる必要はありませんが、チームを巻き込んで状況を把握してもらう良い機会となります。
4.上司への相談(エスカレーション)
個人の努力だけでは限界がある場合、また、問題が組織的なものである場合は、必ず上司に相談しましょう。相談する際は、1現状把握と証拠集めで集めた客観的な事実と、それによる業務への支障(自分の業務の遅延、残業の発生、チーム全体の生産性低下など)を具体的に伝えることが重要です。
相談のポイント
・感情的な愚痴ではなく、事実ベースで報告する。
・フォローにどれだけ工数がかかっているか具体的に示す。
・自分の業務への支障、チームへの影響を明確にする。
・役割分担の明確化、本人への指導、業務プロセスの見直しなどを具体的に提案する。
信頼できる上司であれば、状況改善に向けて動いてくれるはずです。もし、上司が機能しない場合は、さらに上の役職者や人事部に相談することも検討しましょう。
5.自分の心を守るマインドセット
他人の問題に振り回され続けると、心が疲弊してしまいます。自分のメンタルヘルスを守るための考え方も大切です。
「他人は変えられない」と割り切る
あなたがどれだけ頑張っても、相手が変わらないこともあります。変えられない相手に執着せず、自分にできることに焦点を当てましょう。
過剰な責任感を手放す
自分が何とかしなければという思い込みは、時に自分を追い詰めます。組織の問題は組織で解決すべきであり、あなた一人が背負う必要はありません。
仕事とプライベートを切り離す
フォローで残業が増えたとしても、できるだけプライベートな時間は確保し、リフレッシュする時間を作りましょう。趣味や休息でストレスを発散することが大切です。
自分の仕事を評価する
他人のフォローばかりに目が行きがちですが、あなたは本来の業務もしっかりこなしているはずです。自分の成果をきちんと認識し、自己肯定感を保ちましょう。
改善しない場合は環境を変える

あらゆる手を尽くしても状況が改善せず、心身の限界を感じる場合は、最終手段として環境を変えることも視野に入れましょう。
異動
同じ会社内でも、部署が変われば人間関係や業務内容も変わります。
転職
どうしても今の環境が合わない、会社の体質そのものに問題があると感じる場合は、より良い労働環境を求めて転職するのも有効な選択肢です。あなたのスキルや経験は、他の場所で高く評価される可能性があります。
「逃げる」のではなく、「自分を守るための戦略的撤退」と捉えましょう。
まとめ

あなたは穏やかに働く権利があります。
仕事できない人のフォローに追われ、疲弊する日々は、決して当たり前ではありません。あなたは、自分の仕事に集中し、穏やかな気持ちで働く権利があります。
今回ご紹介したステップを参考に、まずはできることから試してみてください。
- 現状を客観的に把握する
- 境界線を引く勇気を持つ
- 建設的なコミュニケーションを試みる
- 上司などの適切な相手に相談する
- 自分の心を守ることを最優先する
すぐに全てが解決するわけではないかもしれません。しかし、少しずつでも行動を起こすことで、状況は必ず変化します。
私も実際に一通りの対応をして、状況を変えたことがあり、自分の行動は無駄ではなかったとわかるだけでも報われた気持ちになります。
あなたは、他人の問題解決のために存在するわけではありません。自分の時間とエネルギーを大切にし、心穏やかに働ける環境を、自らの手で取り戻していきましょう。